3月1日に谷中ののこ屋根展のレセプションが行われました

Exif_JPEG_PICTURE3/1 レセプションが行われました。たくさんの方のご来場、ありがとうございました。

なぜ、のこぎり屋根を残したいのか。椎原晶子さんの挨拶を採録します。

【のこぎり屋根を谷中に残すことの意義】
谷中や谷根千地区は、今や下町風情や歴史文化を楽しむ方が増え、観光地的なにぎわいを見せていますが、本来、店や工房併用住宅や町中の工場などで人々が働き暮らすまちです。そのものづくりは懐しいものや伝統的なものだけではなく、その都度の時代の先端を開く先進的なものでもありました。

明治期に谷中に立てられたノコギリ屋根工場は、当時のフランスの最先端のデザインや技術を導入して紳士淑女の帽子を飾るリボンを織る工場でした。その建物は三角トラスの小屋組を並べて北側天窓から光をとりいれ、安定した自然光で織物の色調や織り具合を見るのに適したモダンで合理的な空間でした。骨組みや天井は白く塗られ、明るい自然光が満ちていたはずです。

のこぎり屋根の建物をこれからも地域で活かせれば、先代の方々が築いたモダンなものづくりの町としての谷中や愛染川流域のまちの姿を、今生きている人々やこれから住む人々にも実感を通して伝えていくことができます。

このたび、持ち主様や多くの方々のご協力により、オリジナルの部材をできる範囲で取り外して保管し、図面や写真、聞き取りなどでのこぎり屋根工場の建物や織物業の全体を伝えられるよう記録をとらせて頂くことができました。

保管された三角トラスの骨組みや柱、野地板、ガラスなどのオリジナル部材は、元の建物の材料、色彩、採光の具合、大工さんや織工さんの技術、当時の人々の生活を物語る確かな「証」、まちの遺伝子です。この部材や図面から読み解けることがまだまだ沢山あります。博物的に保管される「資料」としてだけでなく、これらを元に、東京の歴史ある生活文化が生きるまち、ものづくりの人々が働き暮らす町を今後も引き継ぎたいと願っています。

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乾杯の後は、谷中ののこぎり屋根の昨年9月の解体の様子、根津の丁子屋ご主人の村田庄司さんのインタビュー映像を見ていただきました。

そして後半はノコギリ音楽。

まずは地元で演奏活動を行っている仰木亮彦さん、谷中のノコギリ弾き森田文哉さん。
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そして千駄木に生まれ育ったという東京のこ音クラブ会長の木本誠二さん。服部明子さん。
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なんとも贅沢な晩でした。

谷中ののこ屋根展は3/9まで開催中です。
会場:ギャラリーTEN http://galleryten.org/ten/

【ミニトーク】
◎3/4(火)18:30~19:30 丁子屋・村田庄司さん
「建物の記憶を記録に ~残せなかった明治28年の店のこと」  

◎3/7(金)18:30~19:30 都議・服部ゆくおさん
「地産地生(ちさんちしょう)」をよしとする ~谷中らしいまちづくり  

◎3/8(土)18:30~19:30  高山医療機械製作所・高山隆志さん
 「谷中から世界へ ~最先端のものづくり」

オリジナル遺産の使い方 谷中のこ屋根展 ~藍染川ファクトリーライフ~
期間:2月25日(火)〜3月9日(日) 台東区谷中2-4-2

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